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「探偵業法」の解説ページ。


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ホーム > 法律・法令 > 探偵業法
探偵業法とは

「探偵業法(たんていぎょうほう)」とは、探偵業における必要な規制を定めたものである。内閣府(国家公安委員会)が所管。

成立の経緯

2006年5月25日衆議院通過。
同6月2日参議院可決・成立。
同6月8日公布。
施行期日は2007年6月1日。
探偵業は、個人の秘密(浮気調査や素行調査など。)に関与することもある業務であるがこの法律ができるまで探偵業務を明確にする法令が無かった。
そのため調査により知りえた秘密で恐喝をしたり、違法な調査をする不適切な業者の存在、また、契約内容のトラブル等が問題になり、社会的要請の高まりから今回の制定に至った。
管理監督は都道府県公安委員会。

概要

探偵業務を明確化し不透明感のあった探偵業を規制する為に制定された法令。
この法律が成立するまで探偵業を名乗る業者(悪質業者)と依頼者間の契約、解約に関するトラブル、違法な手段を用いた調査、調査で得た情報から調査対象者を恐喝するトラブル等が多発していた。

しかし、法的規制が無かったため、この悪質業者を取り締まりることがしづらい状況下にあった。
この業務適正化に関する法律は、依頼者や調査対象者の人権の保護を目的とするものであり、探偵業者を保護するものではない。

この法律の施行により、探偵業者以外でも原則として、「他人の依頼を受け」「人の所在又は行動について」「面接による聞き込み」「尾行、張り込み」などに類する実地の調査やその営業を行うには、探偵業者としての届出が必要となった。例外となる業種として「専ら、放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関の依頼を受けて、その報道の用に供する目的で行なわれるもの」と規定されている。

すなわち、報関係者や、それに類する職種での、探偵業務(取材活動)また、学術調査活動や、弁護士、税理士のような業務に関連した情報の収集が必要とされる人は適用の除外に当てはまる。

探偵業務として従来と変わるところは無いが、この法律の制定により「探偵業」とは「張り込み・尾行・聞き込み」を行なう職種であると、不透明だった基準を明文化された事が探偵業の透明化を図る大きな意味を持つとおもわれる。

警備業法の規定と同様に「この法律により他の法令において禁止又は制限されている行為を行うことができることとなるものではないことに留意するとともに、人の生活の平穏を害する等個人の権利利益を侵害することがないようにしなければならない」とされている。

この探偵業法が施行された事によって捜査権・逮捕権(現行犯を除く)などが与えられたわけではなく、今までと同じくして犯罪捜査や被疑者逮捕などは不可能である。業務上は従来通り民間依頼に基づく個人調査が主となる。

主な定義

この法律による業務の適正化に関する主なところは下記の通りである。
探偵業務とは依頼に基づき「張り込み・尾行・聞き込み」を行ない依頼者に報告する業務である。
探偵業務を行なう営業を探偵業とする。
探偵業者とは都道府県公安委員会に届出し認可され探偵業を営む者である。
悪質業者排除の為、欠格事由が規定された。

公安委員会への営業所ごとの届出、また、その届出書を掲示する事を義務付けられた。
届出者の名義貸しの禁止。

依頼を受け探偵業務を行なうには

・調査結果を犯罪や、違法なことに使用しない旨の書面を依頼者から交付してもらう事。

・法で定められた重要事項を依頼者に書面で交付、説明する事。
・依頼者と契約の際は、法で定められた契約内容を明示した書面を交付する事。

以上の書面でのやり取り及び説明が必要となった。
探偵業者は探偵業務を探偵業者以外に委託してはいけない。

探偵業者は、調査の結果が犯罪行為、違法な差別的取扱いその他の違法な行為のために用いられることを知ったときは、その探偵業務を行ってはいけない。

秘密保持と守秘義務の義務付けがされた。
営業所ごとの使用人(探偵業務以外の業務に従事している人)その他の従業員(パート、アルバイト、派遣など。)に対して教育の義務が課された。

業務状況の報告若しくは資料の提出、立ち入り検査が規定された。
指示(行政処分)と罰則の制定。

全文

探偵業の業務の適正化に関する法律
(平成十八年六月八日法律第六十号)

(目的)
第一条  この法律は、探偵業について必要な規制を定めることにより、その業務の運営の適正を図り、もって個人の権利利益の保護に資することを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において「探偵業務」とは、他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務をいう。

2  この法律において「探偵業」とは、探偵業務を行う営業をいう。ただし、専ら、放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関(報道(不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせることをいい、これに基づいて意見又は見解を述べることを含む。以下同じ。)を業として行う個人を含む。)の依頼を受けて、その報道の用に供する目的で行われるものを除く。

3  この法律において「探偵業者」とは、第四条第一項の規定による届出をして探偵業を営む者をいう。

(欠格事由)
第三条  次の各号のいずれかに該当する者は、探偵業を営んではならない。

一  成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの

二  禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して五年を経過しない者

三  最近五年間に第十五条の規定による処分に違反した者

四  暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第六号に規定する暴力団員(以下「暴力団員」という。)又は暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者

五  営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者でその法定代理人が前各号のいずれかに該当するもの

六  法人でその役員のうちに第一号から第四号までのいずれかに該当する者があるもの

(探偵業の届出)
第四条  探偵業を営もうとする者は、内閣府令で定めるところにより、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)に、次に掲げる事項を記載した届出書を提出しなければならない。この場合において、当該届出書には、内閣府令で定める書類を添付しなければならない。

一  商号、名称又は氏名及び住所

二  営業所の名称及び所在地並びに当該営業所が主たる営業所である場合にあっては、その旨

三  第一号に掲げる商号、名称若しくは氏名又は前号に掲げる名称のほか、当該営業所において広告又は宣伝をする場合に使用する名称があるときは、当該名称

四  法人にあっては、その役員の氏名及び住所

2  前項の規定による届出をした者は、当該探偵業を廃止したとき、又は同項各号に掲げる事項に変更があったときは、内閣府令で定めるところにより、公安委員会に、その旨を記載した届出書を提出しなければならない。この場合において、当該届出書には、内閣府令で定める書類を添付しなければならない。

3  公安委員会は、第一項又は前項の規定による届出(同項の規定による届出にあっては、廃止に係るものを除く。)があったときは、内閣府令で定めるところにより、当該届出をした者に対し、届出があったことを証する書面を交付しなければならない。

(名義貸しの禁止)
第五条  前条第一項の規定による探偵業の届出をした者は、自己の名義をもって、他人に探偵業を営ませてはならない。

(探偵業務の実施の原則)
第六条  探偵業者及び探偵業者の業務に従事する者(以下「探偵業者等」という。)は、探偵業務を行うに当たっては、この法律により他の法令において禁止又は制限されている行為を行うことができることとなるものではないことに留意するとともに、人の生活の平穏を害する等個人の権利利益を侵害することがないようにしなければならない。

(書面の交付を受ける義務)
第七条  探偵業者は、依頼者と探偵業務を行う契約を締結しようとするときは、当該依頼者から、当該探偵業務に係る調査の結果を犯罪行為、違法な差別的取扱いその他の違法な行為のために用いない旨を示す書面の交付を受けなければならない。

(重要事項の説明等)
第八条  探偵業者は、依頼者と探偵業務を行う契約を締結しようとするときは、あらかじめ、当該依頼者に対し、次に掲げる事項について書面を交付して説明しなければならない。

一  探偵業者の商号、名称又は氏名及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

二  第四条第三項の書面に記載されている事項

三  探偵業務を行うに当たっては、個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)その他の法令を遵守するものであること。

四  第十条に規定する事項

五  提供することができる探偵業務の内容

六  探偵業務の委託に関する事項

七  探偵業務の対価その他の当該探偵業務の依頼者が支払わなければならない金銭の概算額及び支払時期

八  契約の解除に関する事項

九  探偵業務に関して作成し、又は取得した資料の処分に関する事項

2  探偵業者は、依頼者と探偵業務を行う契約を締結したときは、遅滞なく、次に掲げる事項について当該契約の内容を明らかにする書面を当該依頼者に交付しなければならない。

一  探偵業者の商号、名称又は氏名及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

二  探偵業務を行う契約の締結を担当した者の氏名及び契約年月日

三  探偵業務に係る調査の内容、期間及び方法

四  探偵業務に係る調査の結果の報告の方法及び期限

五  探偵業務の委託に関する定めがあるときは、その内容

六  探偵業務の対価その他の当該探偵業務の依頼者が支払わなければならない金銭の額並びにその支払の時期及び方法

七  契約の解除に関する定めがあるときは、その内容

八  探偵業務に関して作成し、又は取得した資料の処分に関する定めがあるときは、その内容

(探偵業務の実施に関する規制)
第九条  探偵業者は、当該探偵業務に係る調査の結果が犯罪行為、違法な差別的取扱いその他の違法な行為のために用いられることを知ったときは、当該探偵業務を行ってはならない。

2  探偵業者は、探偵業務を探偵業者以外の者に委託してはならない。

(秘密の保持等)
第十条  探偵業者の業務に従事する者は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。探偵業者の業務に従事する者でなくなった後においても、同様とする。

2  探偵業者は、探偵業務に関して作成し、又は取得した文書、写真その他の資料(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。)を含む。)について、その不正又は不当な利用を防止するため必要な措置をとらなければならない。

(教育)
第十一条  探偵業者は、その使用人その他の従業者に対し、探偵業務を適正に実施させるため、必要な教育を行わなければならない。

(名簿の備付け等)
第十二条  探偵業者は、内閣府令で定めるところにより、営業所ごとに、使用人その他の従業者の名簿を備えて、必要な事項を記載しなければならない。

2  探偵業者は、第四条第三項の書面を営業所の見やすい場所に掲示しなければならない。

(報告及び立入検査)
第十三条  公安委員会は、この法律の施行に必要な限度において、探偵業者に対し、その業務の状況に関し報告若しくは資料の提出を求め、又は警察職員に探偵業者の営業所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。

2  前項の規定により警察職員が立入検査をするときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

3  第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(指示)
第十四条  公安委員会は、探偵業者等がこの法律又は探偵業務に関し他の法令の規定に違反した場合において、探偵業の業務の適正な運営が害されるおそれがあると認められるときは、当該探偵業者に対し、必要な措置をとるべきことを指示することができる。

(営業の停止等)
第十五条  公安委員会は、探偵業者等がこの法律若しくは探偵業務に関し他の法令の規定に違反した場合において探偵業の業務の適正な運営が著しく害されるおそれがあると認められるとき、又は前条の規定による指示に違反したときは、当該探偵業者に対し、当該営業所における探偵業について、六月以内の期間を定めて、その全部又は一部の停止を命ずることができる。

2  公安委員会は、第三条各号のいずれかに該当する者が探偵業を営んでいるときは、その者に対し、営業の廃止を命ずることができる。

(方面公安委員会への権限の委任)
第十六条  この法律の規定により道公安委員会の権限に属する事務は、政令で定めるところにより、方面公安委員会に行わせることができる。

(罰則)
第十七条  第十五条の規定による処分に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

第十八条  次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

一  第四条第一項の規定による届出をしないで探偵業を営んだ者

二  第五条の規定に違反して他人に探偵業を営ませた者

三  第十四条の規定による指示に違反した者

第十九条  次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。

一  第四条第一項の届出書又は添付書類に虚偽の記載をして提出した者

二  第四条第二項の規定に違反して届出書若しくは添付書類を提出せず、又は同項の届出書若しくは添付書類に虚偽の記載をして提出した者

三  第八条第一項若しくは第二項の規定に違反して書面を交付せず、又はこれらの規定に規定する事項を記載しない書面若しくは虚偽の記載のある書面を交付した者

四  第十二条第一項に規定する名簿を備え付けず、又はこれに必要な事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をした者

五  第十三条第一項の規定に違反して報告をせず、若しくは資料の提出をせず、若しくは同項の報告若しくは資料の提出について虚偽の報告をし、若しくは虚偽の資料を提出した者又は同項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者

第二十条  法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。

附 則

(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(経過措置)
第二条  この法律の施行の際現に探偵業を営んでいる者は、この法律の施行の日から一月間は、第四条第一項の規定による届出をしないで、探偵業を営むことができる。

(検討)
第三条  この法律の規定については、この法律の施行後三年を目途として、この法律の施行の状況、探偵業者の業務の実態等を勘案して検討が加えられ、必要があると認められるときは、所要の措置が講ぜられるものとする。

関連ワード

探偵業の業務適正化に関する法律
守秘義務
探偵業の届出